Fiio JT7
リンクの他に違うバージョンがある場合がございます。スペックの違いにご注意ください。
概要DETAIL
JT7は、FIIOが独自開発した95×86mm平面磁界ドライバーを搭載する開放型ヘッドホンです。わずか318gの軽量折りたたみ式デザインにより、平面磁界型ヘッドホンに革新的な携帯性をもたらしました。3μm超薄型振動板が描く鮮やかな高音域と、独自のF.E.S.弾性補助システムが生み出す存在感のある低音域により、広大なサウンドステージを存分に満喫できます。3.5mm/4.4mmケーブル付属で幅広い機器に対応し、自宅でのリスニングから旅行先まで、気軽に高音質を楽しめるハイレゾ認定ヘッドホンです。
長所
- +速いアタックと深いサブベース制御
- +上中域にピークがなく、ボーカルが重なる場面でも個々が識別できる
- +開放型平面駆動ならではの自然な音場展開と正確な定位
短所
- -ヘッドバンドが最小設定でも大きめ
- -屋外・通勤用途は厳しい
- -FT1 Proと比べると高域の最上部の延伸とシンバルの輝き感で一歩譲る
総合レビューREVIEW
FiiO JT7はJade Audio(FiiOの廉価特化サブブランド)のJTシリーズが初めて平面駆動を採用したモデルです。95×86mmの大型ドライバーにF.E.S弾性システムとプッシュプル磁気配列を組み合わせ、2万円という価格帯で開放型の平面駆動サウンドを手の届く場所に引き下ろすことを狙っています。ブランドのFT1 Pro(倍近い価格)が直接の上位競合にあたり、JT3(動電型の下位モデル)が同シリーズの廉価枠を担っています。カップが折りたたまれてコンパクト収納できる設計は、フルサイズの開放型プラナーとしては異例の設計となっています。 箱を開けたとき、まず驚いたのがそのサイズでした。フルサイズのオーバーイヤーとは思えないほどコンパクトで、折りたたまれたヘッドフォンがクロスポーチに納まった状態で届きます。「開放型平面駆動機がこの箱に入るのか」という小さな驚きから始まるのが、JT7の最初の印象です。 実際に鳴らし始めてまず気づくのは「音が散らからない」ことです。平面駆動の薄いダイアフラム一枚で全帯域を処理する構造からでしょうか、低域と中域と高域が不自然に分断されず、ひとつの音のまとまりとして耳に届きます。この価格帯の機種としては珍しい聴き心地で、最初から「あ、ちゃんと鳴っている」と感じることができます。 この機種の一番の見どころは低域の速さです。ベースラインが速く連打されても音が潰れることなく、各打点の輪郭がハッキリ残ります。重心の低いシンセベースや電子音楽のキックが、ズシっとした重みを保ちながら沈み込んでいく感触は、正直この価格帯では想定外でした。量感はわずかに盛られていますが、あくまで「楽しさのためのアクセント」という範囲で、低音が全体を塗りつぶすタイプではまったくありません。 中域については上中域にピークがないことが実用上の最大の美点です。長い曲を続けて聴いても声が耳に積み重なっていかず、複数のボーカルパートが重なる密集したサビでも、各声の輪郭がきちんと保たれます。個人的に、これはこの機種の地味ながら重要な強みだと思います。声の自然さという点では、同じFiiOのFT1 Proと比べてもほとんど差を感じない場面が多いです。 高域は滑らかで、シンバルの倍音が長めに尾を引いてから消えていく感触は心地よいです。サ行が刺さることもなく、長時間のリスニングでも疲れません。一方で、シンバルの最上部の輝きや繊細な金属音の余韻という点では、FT1 Proに一歩届かない天井があります。ここはコストの差が正直に出るところです。 音場は開放型プラナーの恩恵が明確に出ています。左右方向だけでなく、奥行き方向にも音が展開し、弦楽器のアンサンブルや打楽器の定位が把握しやすいです。この音場の広さと分離の良さは、密閉型と並べると差が一目瞭然です。弦楽器が重なるアコースティック編成の音源だと、各パートに独立した空間があるように聴こえます。 ビルドは価格なりとなっています。大半がプラスチック製で、スプリングスチールのヘッドバンド骨格と金属のイヤーカップグリルが強度の要所を担っています。318gという重量は開放型プラナーとして軽く、ハイブリッドイヤーパッド(外側は穴あきプレザー、内側はベロア素材)は通気性があって蒸れにくい——ここは素直に良いと思います。付属ケーブルは3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの2本で、6.35mm変換アダプターも入っています。18Ωの低インピーダンス設計でドングルDACでも十分に鳴り、バランスケーブルがこの実売価格帯で同梱されている点は実用的です。 一点だけ強調しておきたいのが装着感の問題です。ヘッドバンドの調整幅が最小設定でも頭との間に遊びが感じられる場合があるくらい、やや大きめの設計になっています。頭が平均より小さい人だと、しっかり密着しないまま聴くことになる可能性があります。また開放型ですので、外音の遮断はほぼありません。静かな環境での自宅リスニングを前提とした設計です。 総評: JT7は現行のエントリー開放型平面駆動機として、率直におすすめできる機種です。倍近い価格のFT1 Proとサウンドの核となる部分——低域の制御感、ボーカルの自然さ、音場の展開——でほぼ互角に渡り合えるという事実がこの機種の全てで、高域延伸や音場の深みで届かない部分はありながらも、その差は価格差ほど大きくありません。装着感は頭の大きさによって結果が相当変わるので、購入前に実機で確かめる価値があります。静かな自宅で音楽に向き合う時間を大切にしているなら、本機は有力な選択肢となるでしょう。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
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